一人暮らしってこんな感じ?『わにわにのごちそう』文:小風さち/絵:山口マオ(福音館書店)

わにわにのごちそう 《happy》楽しくなりたいとき
画像出典:福音館書店

大きなワニ”わにわに”のお食事を描いたお話です。

わにわにシリーズの2作目、舞台は台所。

あらすじ

わにわにがお腹をすかせて台所へやってくるところから、お話が始まります。

コンセントの色から推察すると、わりと古風なお家ですね。

わにわに登場シーンで、わたしは一瞬絵本らしからぬ展開を想像してしまいました。

もちろんそんなけしからん展開はなく、わにわには冷蔵庫においしそうな鳥肉を発見。

楽しく調理開始です。

しかしながら…わにわに、いろいろ焦りすぎ!

動きを見ていると「わにわに、相当お腹がすいているんだな〜なんだか自分もお腹すいてきたかもな〜」と思ってしまいます。

そしてその一部始終を見ていると、自然と笑ってしまう素晴らしい描写です!

そんなお腹のすくおもしろ絵本『わにわにのごちそう』はどんな方が作られているのでしょうか。

詳しくみていきたいと思います。

この二人だから、できた絵本

小風さちさん

まず、文を作られている小風さちさんは、東京都出身の女性。

この”わにわに”シリーズだけではなく”こぶたのピクルス”シリーズや赤ちゃん絵本の定番『よ・だ・れ』など沢山の絵本のことばを担当されている方です。

また、童話『ゆびぬき小路の秘密』では”野間児童文芸新人賞”を受賞されています。

ちなみに”野間児童文芸新人賞”とは、講談社初代社長の遺志により創設された一般財団法人野間文化財団が、昭和38年から平成10年まで運営していた文学賞です。

絵本を作るときには”リアリティ”をかなり重視しているそうで、わにわにシリーズを作り出す前にはかなり某バナナワニ園へ通っていたというエピソードも。

だからこそ、わにわにのセリフやわにわにが発する音のひとつひとつにこんなにも納得できるのだなと感じます。

山口マオさん

つぎに、絵を描かれている山口マオさんは、千葉県出身の男性。

他の著書には『オオカミがやってきた!』(文:うえだちえ)や『はすいけのぽん』(文:古館綾子)などがあります。

山口さんの絵は、背景まで愛を感じる細やかさが特徴です。

そしてじつは、木版画で描かれています。

情けないですが、わたしは絵本を読み終わっても木版画であることに全く気が付きませんでした。

木版画であるという事実を知ってから読み返してみると「こんなにも細やかな絵を木版画で描いてしまうんだ」と感動してしまいます。

『わにわにのごちそう』に描かれているわにわに宅の絵も、もちろん細やかで感動しますし、どことなく懐かしくていい。

お茶目な行動とセリフ、そして木版画の優しい絵が一緒になることで”ワニ”という怖い動物が”わにわに”という愛らしいキャラクターに進化する、本当に素敵です。

お母さんには、絶対怒られる…!

わにわにの行動は、まさに「一人暮らしだったらこうなっちゃうかね〜」といった自由さに満ち溢れています。

水道はちゃんと止まっていない、冷蔵庫は開けっ放し、あまつさえ食事の仕方なんて…目もあてられません!

これ、お母さんが見たら絶対に怒るやつです。

「良い子はまねしちゃいけません」なやつです(笑)

しかし、そんなわにわにの食事風景はとても気持ちのいい食べっぷりで、見ていると「自分もなにか食べちゃおうかな」という気持ちになってきます。

食べなくてもいいものを、うっかり食べてしまうかもしれないリスクはありますが、色々とツッコみながら楽しく読める絵本です。

そしてなにより終わり方が最高ですので『わにわにのごちそう』をぜひ読んでみてください!