居てくれればいいんです『わたしのそばできいていて』作:リサ・パップ/訳:菊田まりこ(WAVE出版)

わたしのそばできいていて 《blue》悲しくなりたいとき
画像出典:WAVE出版

とびっきり優しいお話。

大人にもかなり染みる絵本です。

泣きたいときに最高の絵本

あらすじ

主人公は、字を読むのが苦手な女の子マディ。

マディが特に嫌いなのは”音読”です。

絵本の中でマディはみんなの前で音読しているよう。

しかも”まる読み”ではなく、けっこう長い文章という、なんともしんどい状況です。

そして、失敗しては言われる「がんばって」という言葉と、容赦のない笑い声。

どんどん音読が苦手になってしまうマディ。

しかしマディは、お母さんが連れてきてくれた図書館でボニーと出会い、救われていきます。

ボニーのおかげでマディは、すごく欲しかったものがもらえてハッピー。

さらにボニーにもハッピーなニュースがあり、とてもほっこりする終わり方になっています。

感情移入してしまう

小学校低学年だと思われまるマディが、音読を失敗して笑われる…

つらいですよ。

でもボニーが、ただただ見守ってくれることで、マディが本を好きになっていく…

その様子を見ているだけで泣けてきます。

しかも絵がいいんです!

とても優しい絵で、見ているだけで癒やされる!

特にマディもボニーもみんなの毛が、ふわっふわ!

絵なのに、思わず触れたくなってしまいます。


絵本では、翻訳されている方も絵本作家の方の場合が、けっこうあります。

そして、この『わたしのそばできいていて』もそうです。

調べてみたら、やっぱり優しい”あの絵本”を描かれている方でした!

ふたりの作者

リサ・パップさん

作者のリサ・パップさんはアメリカ在住の児童書作家。

イラストレーターとしてデビューした後、絵本や児童書に携わっています。

WAVE出版によれば、リサさんの作品は「NAPPA賞」や「キーストーン・リーディング賞」など、多くの賞を受賞。

「NAPPA賞」とは「National Parenting Product Awards」の略称で、アメリカの賞です。

この賞は”本・おもちゃ・CD・DVD・アプリ・教育玩具などの中から、親が子どもに与えるべき良質な商品”に贈られます。

実際に親や子どもが使った評価によって審査され、アメリカでは信頼度の高い賞です。

「キーストーン・リーディング賞」とは「Keystone to Reading Book Awards」のことだと思われます。

「Keystone to Reading Book Awards」は、アメリカの”キーストーン州立読書協会”が主催している賞です。

この賞についてはほとんど情報がないため、詳細はわからないのですが、読書協会が行っている賞なので、推薦図書みたいな感じかなと推察しています。

菊田まりこさん

翻訳されている菊田まりこさんは、東京出身の女性。

グラフィックデザイナーやイラストレーターとして活躍され、絵本作りに着手されました。

絵本デビュー作品『いつでも会える』で 1999年度ボローニャ国際児童図書展のボローニャ児童賞・特別賞を受賞されています。

『いつでも会える』は一度は見たことがあるかわいい絵のシンプルな表紙の絵本です。

そして、お話は飼い主の死に立ち向かう犬、シロの感動ストーリー!

絵本と詩の中間のような作りで、なんだか言葉がより伝わってきます。

この『いつでも会える』もオススメです!

この絵本もそうですが、菊田さんは優しい言葉をつくる天才なんだと思います。

改めて外国の絵本は、原作の方と翻訳の方のふたりで作り上げられるものなんだなと感じました。

リサ・パップさんと菊田まりこさんだから生まれたのが『わたしのそばできいていて』という素敵な絵本です。

大人だから泣ける

設定は、完全に勉強がうまくいかない子ども向けの絵本だと思います。

しかし、大人にもかなり染みる絵本です。

大人は子どもよりも失敗を許されることが減って、成功させてもホッとするだけのことが多い!

たまにはボニーのように、失敗をただ見守っていてほしい時もあるのに!(笑)

そんな大人の欲望をかきたて、涙を流させてくれる絵本。

悲しくなりたいというよりは、泣きたいときにオススメです。

そして最後は、ほんとうにほっこり。

泣きながら笑顔にもなれる、そんな素敵な絵本『わたしのそばできいていて』をぜひ読んでみてください。