いつまでも”今時”な絵本『しろくまちゃん ぱんかいに』著者:もりひさし・わだよしおみ・わかやまけん(こぐま社)

しろくまちゃんぱんかいに 《hungry》食欲をわかせたいとき
画像出典:こぐま社

”こぐまちゃんえほんシリーズ”の一冊で、幼馴染のしろくまちゃんがお買い物に行くお話。

こぐまちゃんえほんシリーズとは1970年から1977年に描かれた、全15冊(セットになっているものは除く)からなる絵本のことです。

くまのぬいぐるみをモデルにした男の子の”こぐまちゃん”とお隣の家に住む幼馴染の女の子”しろくまちゃん”の日常を描いています。

その他の作品には『こぐまちゃんおはよう』『こぐまちゃんいたいいたい』『しろくまちゃんのほっとけーき』などあり、テーマは様々。

この『しろくまちゃんぱんかいに』は、しろくまちゃんとおかあさんがお買い物に行く様子を描いています。

しろくまちゃんは、買い物へ行く途中で自ら手紙をポストに投函し、車に気をつけることを学び、何を買うのかわくわくしながらスーパーをウロウロ。

買ってほしいものをねだるも、おかあさんに断られて泣くという、スーパーで見たことあるかもしれない光景がかわいらしく描かれます。

わたしも小さい頃このウロウロからの泣くまでの一連の流れ、やったことある…お母さんごめんね。

圧倒的にこぐまちゃんメインのお話が多い中で、わたしはしろくまちゃんのお話が大好きです!

たぶん、食べ物の登場が多いから…(笑)

どうして、しろくまちゃんのお話はこんなにも美味しそうなんでしょうか。

スーパーに並んでいるパンやケーキを見ていると、つい食べたいなと感じてコンビニまで行くか悩んでしまう…

この食欲を刺激するオシャレな絵本が誕生から40年以上経っているなんて、ほんとうに驚きです!

果たしてどのように作られているのでしょうか、見ていきたいと思います。

ひとりの意見だけでは発行されない

この絵本の著者には3人の方の名前が書かれています。

作者が3人って多いなと思いませんか。

でもなんと、更にもうひとり作者がいるんです!

絵本ナビの『しろくまちゃんのほっとけーき』40周年記念 こぐま社相談役 佐藤英和さんインタビューによれば、こぐま社の創設者であり、編集者でもあった佐藤英和さんもこの絵本の生みの親とのこと。

合計4人はすごく多い!

絵本作りのときは必ず4人で話し合って、全員が納得したものしか発行しないという方針だったそう。

また、作品の根底にあるのは”日本の子どもたちが初めて出会う絵本を作る”ということと”10年後、20年後の子ども達が見ても古いと感じない絵本にする”こと。

だからこそ、40年以上経っても今どき感がありますし、親しみやすい内容になっているんですね!

『しろくまちゃんぱんかいに』の表紙の配色や、どのパンを描くのかといったことまできっと何度も議論された上で作られているんだろうなどと、1ページずつどのような議論が行われたのかを推測しながら読むのもオススメです。

決して、答えは出ないのですが…(笑)

そんな素敵な絵本を作られているプロフェッショナルたちの経歴を簡単にご紹介します。

佐藤英和さんは、長崎県育ちの男性。

河出書房編集者を経て、1966年にこぐま社を設立され、こぐま社の編集者としても活躍されました。

もりひさし(森比左志)さんは神奈川県出身の男性。

小学校教諭のときに絵本に出会われ、こぐま社の設立に参加。

以後、絵本制作や翻訳に携わり、著書には『ちいさなきいろいかさ』(絵:にしまきかやこ)があり、あの『はらぺこあおむし』(作:エリック・カール)の翻訳もされている方です。

わだよしおみ(和田義臣)さんは、福井県出身の男性。

編集記者、劇作家を経てこぐま社設立に参加、その後は絵本の仕事に従事され、著書にはしかけ絵本の『プータン』シリーズ(絵:ならさかともこ)があります。

わかやまけん(若山 憲)さんは、岐阜県出身の男性。

グラフィックデザイン界から童話界へやってこられ、教科書や絵本の分野で活躍された、こぐま社設立のメンバーのひとりです。

『きつねやまのよめいり』という作品では日本だけではなく、海外でも評価されています。

小さい頃から女は女

この絵本のお話は、日本人にもなじみのある内容でとても分かりやすいです。

しかし、絵は輪郭や色味がはっきりしていたり、外国サイズなとても大きいケーキやフランスの国旗を思わせる配色の箱が登場したりと、なんだか外国の絵本のように感じました。

この絵を日本人の方が日本の子どものために描いたんだなと考えると、ちょっと不思議。

作者のみなさんの目には一体どこまでの未来が見えていたのでしょうか。

そして何より、この”THE・イラスト”というかわいい絵でお腹を空かせてくれるのにはほんとうに驚きです!

スーパーに食べ物が陳列されている様子から、実際のスーパーの様子を想像させてくれたり、しろくまちゃん達が買った食材から晩御飯はコレかなと考えてしまいます。

絵本とは、いかに読み手の想像力を働かせるように作るかが大切なんだと改めて感じられる絵本です。

また、小さい頃から変わらないことは、やっぱり女の子は買い物が好きだということ。

”小さい頃から女は女”ということを学ぶこともできるので、男性の方にもぜひ読んでほしいですね(笑)

もちろん男性だけではなくて、大人だから学べることもたくさんあると思います。

特にお父さんお母さんであれば、最後に掲載されているもりひさしさんのコメントから感じることがありそうです。

勉強にもなる、お腹が空く絵本『しろくまちゃんぱんかいに』をぜひ読んでみてください。