さくらももこ先生が永眠されたというニュース、ほんとうに悲しいです。
さくら先生とのコラボニベア、買えたのは嬉しいですが、なぜ応募しなかったのかほんとうに悔やまれます。
わたしの高校時代は、さくらももこ先生の作品とともにあったと言っても過言ではありません。
同級生のなかにはガッツリとメイクをしている子たちもいた中で化粧などせず、JKと呼ぶことがはばかられるほど地味に生きていた高校生の時、通っていた高校には朝の読書タイムが設けられていました。
そんな朝の読書タイムでさくら先生のエッセイや『神のちからっ子新聞』を読み漁っていたわたし。
絶対にひとりでクスクス笑っていたはず…変なやつだと思われていたことでしょう。
しかし、そのおかげで人の言い間違いやちょっと変な行動に対してものすごく敏感に反応できるようになり、日常を面白く感じとることができています。
先生の作品がきっかけで、今でもものすごく仲の良い友人達に出会うこともでき、感謝してもしきれません。
さくら先生ほんとうにありがとうございました、心よりご冥福をお祈り致します。
そんなわけで今回は完全に私情にかられた”さくら先生の好きな作品ベスト3”を発表することにしました(笑)
第1位 もものかんづめ
『○○の○○○○』シリーズ1作目で”さくらももこエッセイ”の代表作とも言える一冊です。
17の短いエッセイと巻末には哲学者の土屋賢二さんとの対談が掲載されています。
このエッセイを高校生の時に読み”お腹がよじれるほど笑う”体験をしました。
その体験は、自宅で桃の缶詰を見かけるだけで思い出すことができてしまう程強烈なもの。
お茶っ葉を使った水虫治療には「こんなことを?!すげー!」と尊敬の念を抱かせつつそのときの描写で笑わせてくれ、お葬式という厳かな場所でついついよからぬことを考えてしまうなど「わかる〜」というあるあるの状況で笑いを提供してくれ、別れを迎えそうな瞬間に起こった笑うしかない出来事には「ほんとうかな?」と疑いながらも吹き出してしまいました。
また、合宿のご飯中に気付いてしまった恐しい混入物の話では「まじかよ…」と思い、気を引き締めるようなこともありました。
特に好きだったお話は”メルヘン翁”です。
これは、さくら先生のお祖父さんが亡くなられたときのお話で、かなり不謹慎な内容(笑)
先生のお祖父さんといえば、ちびまる子ちゃんに登場するあの”友蔵”になるわけです。
しかし、実際はまる子大好きな甘々で家族思いな性格ではなく、先生の言葉をお借りすると”ろくでもないじじい”だったそう。
そんな割と家族にウザがられていたお祖父さん…かなり面白い顔でお亡くなりになり…さらにアレンジが加えられたことによってより愉快な雰囲気になり、最終的にはサイズの問題でお祖父さんは”メルヘン翁”に変身していくのです。
その様子を綴る先生の言葉が最高!
お祖父さんの描写、家族や親戚の様子、自分の感情やお姉さんへのちょっとした意地悪な忠告とその結末など、ここまで悲しくないお葬式があったものかと感動すら覚えます。
もちろん他のお話も抱腹絶倒ですし『○○の○○○○』シリーズ2作目の『さるのこしかけ』も、3作目の『たいのおかしら』もかなり腹筋が筋肉痛になるエッセイです。
第2位 ちびまる子ちゃん
日曜日の夕方に放送中のTVアニメでお馴染み、大人気ギャグマンガです。
もうこれを選んだら普通だなというのは分かってるんですが、入れざるを得ない。
だってキャラが濃い人ばっかりで、笑わないわけないですから!
真似してませんでしたか、わたしはしてましたよ。
まるちゃんはもちろん、そっくりな妹のいるブー太郎、胃腸が弱い山根くんに…泣いたときの前田さんとか!
自分のクラスに同じような人が居たとか、そういうことはないのに「居そう!」というだけで笑える設定でしたし、まるちゃんの口癖”あたしゃ”という一人称を使って日常会話をするだけで、ゲラゲラ笑っていました。
そんな風にいろいろな部分を切り取って真似できるということも親しみやすく、人気たる所以なのかなと思います。
面白くて印象に残っているお話は、まるちゃんがクラスのみんなに年賀状を書くお話で、たぶん「まるちゃん年賀状を書く」というタイトル。
クラスの人々に”面白い”年賀状を書こうとしたまるちゃん、結局なんだか変な年賀状になってしまうやら、男子の分は年明け前に届いてしまうやらと、ギャグセンスが高すぎて辛いくらいのお話です。
特に好きなのは、失敗したとんでもないデザインのハガキを郵便局に交換しに行くシーン!
郵便屋さんのお兄さんの「笑いたいけど、仕事だし、お客だし」という気持ちを考えると、ほんとうに可哀想でした…わたしは笑えるからいいんですけど(笑)
また、たまにしか出てこない人までしっかりと設定があるところもすごく好きでした。
親戚のみどりちゃんにみぎわさんの犬、野口さんのお兄さんカップルなどなどクラスメイトや家族以外の登場人物までとても細かな設定があり、先生の仕事と笑いに対する熱意が伝わってきます。
人間観察の素晴らしさは、ちびまる子ちゃんから学びました。
基本的に1話完結なので、短い時間で読めてしまうところもいいですよね。
そして、笑いだけでなく善悪さえも学んだ気がします。
例えば「まる子嘘をつく」の回では、小さな嘘が大きな嘘に発展してしまい、いろいろな人に迷惑をかけるお話で、やっぱり嘘ってついちゃダメだよねということを笑いながら学習できました。
また「たかしくん」というお話は、遅刻が多いたかしくんへの注意が次第にイジメへと発展してしまうお話。
純粋で視野の狭い子どもゆえこのようなことが起こり得るということや、イジメは本人だけでなく、その子の家族まで傷つけてしまう行為なんだと教えてくれました。
”悪いことは悪いことでしかない”は絶対ではないし、子どものようにそれを知らない人もいるんだと考えさせられるお話です。
あぁ〜ほんとうに素敵な漫画。
ちなみに、まるちゃんのクラスの格好いい男の子なら、杉山くんより断然大野くん派、かわいい女の子なら城ヶ崎さんよりも笹山さん派でした。
皆さんどっちでしたか?
第3位 神のちからっ子新聞
このとんでもなくシュールな内容で、ニタニタと笑ってしまう本はご存知ない方もいるかもしれませんね。
大型コミックの大きさで、表紙と裏表紙はハードカバー素材。
その中にはふざけた新聞記事と、新聞で活動が取り上げられている人々の日常が漫画で描かれています。
お便りのコーナーや4コマ漫画に占い、度々登場する独特を極めた人々の活動を紹介するコーナーなどがあり、地域新聞と学校新聞と地元ラジオをあわせたような仕上がりです。
絶対こんなにも描くのが大変な作品を描き続けてる人は、さくら先生以外にいない!
読むのにも、新聞同等の体力を使うのに…描くのは絶対にそれ以上の労力がかかっていたに違いありません。
わたしが好きだったコーナーは、毒のある一言とそれに合わせたイラストが載っている”ちからっ子の常識”というものと、存在しない新しい諺を紹介してくれる”加字山さんの諺のコーナー”です。
”ちからっ子の常識”には【独特な雰囲気なだけ】や【うまくいっても それも幻よ】【腹痛と腰痛が同時に発生!!】などのちょっと悪意を感じる文章とそれに合わせた絵があり、もう最高!
また、加字山さんの諺コーナーには【ムササビにマタタビ→ちょっとした間違いからどんどん間違ってゆく事のたとえ】や【カニみそにエビみそを混ぜる→本人だけが納得している微妙なこだわりという意】などなど新しい諺が載っていて「なるほど〜!!」と感心してしまうこと間違いなしです。
このような常識と諺が1つの新聞に1〜2つほど掲載されています…これ1つ考えるのだって絶対疲れますよね…ほんとうに先生の睡眠時間が気になります。
わたしも「新しい諺を作ろう」と頑張ったのですが、やっぱり既存のものに近くなってしまったりと全くできなかったです。
また、新聞にはとある高校の部活”工夫クラブ”の生徒たちが考える”工夫”の紹介もあり「工夫なら考えられるかも!」と思い、試みました。
しかし、正解がわからないため断念。
工夫クラブの少年たちは、日々”工夫”を考えるという部活動をしています。
彼らが考えていた工夫とは、例えば”瓶の中に割り箸とどんぐりを入れたり”ですとか”豆腐にシャーペンの芯をさしたり”というもので…謎。
「え?」と困惑されてしまうかもしれませんが、絵があるとどういうものなのかがよくわかりますし、その謎さがクセになるはずですので、ぜひ読んでみてほしいです!
ものすごく普通のランキングだった
このベスト3…いたって普通のランキングになってしまいました。
こういうものを書いてみると、自分の感性の平凡さに泣けてきますね。
しかしながら先生の作品がどれもこれも笑い疲れてしまうものばかりで、順位などあってないようなものですし、結局のところ”さくらももこ=笑の神”の方程式が成り立つということでよろしいのかなと思います!(笑)
高校を卒業してからあまり読み返していませんでしたし、そもそも友だちに借りて読んだ作品も多かったので、大人になった今こそすべてを集めたい。
そして、さくら先生の著書には息子さんとご一緒に作られた絵本もあり、その名も『おばけの手』です!
息子さんがタイトルを考え、絵を描いたものに先生が仕上げをした絵本で、ちょっと不思議なお話。
先生のエッセイには、息子さんのお話もよく登場し、わたしは息子さんに対して可愛らしいが「やっぱりさくらももこの息子だね」という愉快な少年の印象を持っています。
そんな自分に似ている息子さんを残してこの世を去ることになるなんて、どれだけ無念だったことでしょう。
人生ってほんとうに突然終わりがやってくることもあるんだなと感じた訃報、これから一生懸命に生きようと思いました。
さくら先生の作品を読み返して、元気をもらいながら頑張ろう。