ヨシタケシンスケさんの絵本一作目にして、第6回MOE絵本屋さん大賞で1位を獲得したおもしろ絵本です。
学校から帰宅したぼくは、テーブルの上の真っ赤なりんごを見つけます。
普通だったら「食べていいのかな?だめかな?」で迷うところ。
でも、主人公のぼくは違うんです。
「このりんごは、もしかしたら…」とりんごかもしれないけど、りんごじゃないのかもしれないと様々な可能性を考え続けます。
その可能性が、ヨシタケワールド全開で最高!
次のページはどんな”りんごかもしれない”が描いてあるのかと、わくわくしながらページをめくることになるでしょう。
大人になった我々は「こうでなくてはいけない」とすぐに思ってしまいます。
しかし、もしかしたらそのりんごはほんとうにりんごではないのかもしれませんよ。
だって食べるまではわからないんですから。
大人が読めば、すこし頭が柔らかくなるかもしれない絵本。
この絵本を読めば、不足している好奇心を楽しく補えそうです。
絵本デビュー作からこの面白さを披露するヨシタケシンスケさん。
そんなヨシタケさんの魅力について詳しく考えてみたいと思います。
タイトルがいい
ヨシタケシンスケさんといえば、今や知らない人などいないと言っても過言ではない人気絵本作家です。
そして、この『りんごかもしれない』が絵本デビュー作。
凄まじいです。
表紙の絵で食いついた人を、中身でしっかり捕まえる、もし捕まればこの先ずっとヨシタケさんの絵本を買ってしまう。
素晴らしい連鎖反応です。
そしてヨシタケさんの魅力には”タイトルの良さ”もあります。
『りんごかもしれない』『このあとどうしちゃおう』『もうぬげない』など、なんだか気になるなぁ〜というタイトルが沢山あるんです。
これは絵本だけにとどまらず、スケッチ集のタイトルは『しかもフタが無い』…絵の具のフタかなにかでしょうか、気になりますね。
このように才能の塊であるヨシタケシンスケさんの絵本デビュー作『りんごかもしれない』おもしろくないわけ無いでしょう。
こういう”もしかしたら”最近考えてなかった
わたしは、年々あたまが固くなっているなという実感があります。
「なんで、こうしないんだ」「これが正しいのに」「そんなわけない」など、固定観念に囚われすぎて生きにくいと感じることもしばしば。
そんな大人の頭をすこし子どもの頃に戻してくれるのが、この絵本です。
昔は不思議なことがあると、自分で想像してましたよね、それが楽しかった!
でも今は、すぐにパソコン・スマホで調べてしまいます。
たまには、ただ楽しむことだけ考えて、いろいろ想像してみるのも悪くないはずです。
そのきっかけにまずはこの『りんごかもしれない』を読んでみてはいかがでしょうか。
今日スーパーで見かけたりんごだって、あの果樹園になっている沢山のりんごだって、もしかしたら…
”もしかしたら”を考える絵本、読めば笑っちゃいます。