お父さんのうまれ方『おまえ うまそうだな』作・絵:宮西達也(ポプラ社)

おまえうまそうだな 《blue》悲しくなりたいとき
画像出典:ポプラ社

恐竜の生きる世界でうまれた”アンキロサウルスの赤ちゃんとティラノサウルス”という不思議な父子の切ないお話です。

この父子誕生のきっかけは、とても小さな勘違い。

改めて言葉の面白さに気づき、またお父さん・お母さんになるのはこういうことなんだなと感じることができる絵本です。

アンキロサウルスの赤ちゃんが優しくて、素直で、ティラノサウルスのことを頼りにしている姿…たまりません!

そしてラスト、この不思議な父子関係がどうなっていくのか見届けるには、涙が必要です。

ところで”ティラノサウルスシリーズ”ってどのくらい人気なんでしょうか。

道徳がたのしくなるかも?

ティラノサウルスが登場する”愛”を学べる絵本、その一番最初の作品が『おまえ うまそうだな』です。

同じようにティラノサウルスが登場するシリーズには『きみはほんとうにステキだね』や『あいしてくれてありがとう』など多数あり、また今でも新作が出続けていることから、作品がとても愛されていることが分かります。

『おまえうまそうだな』は2006年に大型絵本(サイズ:465mm x 380mm ※通常は265mm x 215mm)の発行、また2010年に映画化までされたのです!

映画化された本作は”文部科学省選定” ”全国私立保育園連盟推奨” ”第15回文化庁メディア芸術祭審査委員会推奨”といった高い評価を獲得し、もちろん大ヒット!

原作の素晴らしさを考えれば、当然の結果ですね。

ちなみに上記3つの評価のなかで”文部科学省選定”は、名前から内容が想像できなかったので調べてみることにしました。

文部科学省選定とは、映像作品や紙芝居といった映像作品等について、教育上価値が高く、学校・社会教育に広く利用されることが適当と認められるものとして選ばれた作品のことで、文部科学省が毎月発表するものです。

例えば、平成30年の1月の選定作品にはウォルト・ディズニーの『リメンバー・ミー』が選ばれていたりします。

こういったものに選ばれている作品が、道徳の授業などで使われるのかもしれないなと想像すると、羨ましいですね。

わたしの時代の道徳ビデオは、さわやか3組ばっかりだったな…

絵だけのページが泣ける

『おまえ うまそうだな』をはじめとする”ティラノサウルスシリーズ”は言わずもがなティラノサウルスが主人公です。

そもそもティラノサウルス自体が恐ろしい恐竜と認識されていますし、宮西さんの絵もかわいらしく描こうという感じはしない絵になっています。

しかし、愛嬌はあれども決してかわいいとは言えないティラノサウルスがすごく愛されている。

人気の理由は…いわゆる”ギャップ”ではないでしょうか。

「怖いと思っていたのに、実は…」という、少女マンガだったら恋に落ちてしまうようなギャップが人気の秘密だと思います。

あんなにツリ目の主人公に”愛”を教えてもらえるなんていうことはなかなかないため、感動が増すのです。

絵本だからできることとして”絵だけで語ること”があります。

わたしは、自分の絵心が皆無なせいか、絵だけのページがあるとそれだけで尊敬の念が強くなりがちです。

そしてこの『おまえ うまそうだな』の絵だけのページは、本当にすごい。

最後のページの前、見開き2ページ(4ページ分)は絵だけで描かれていいて、読むと自然と涙が出てきます。

悲しくなりたいときには、ぜひ読んでみてください。