子どもの”教訓絵本”という内容です。
短編集のような感じで、何人かの聞き分けのない子ども達が登場し「あ~だから言ったのに」という結末をむかえます。
小さい頃に読みきかせて、こういうことはしてはいけないと学ばせるのに役立つ絵本です。
しかし…怖すぎます。
特に”ゆびしゃぶりこぞうのおはなし”など、インパクトの強すぎるお話が多いと思います。
絵はカラフルですし、動物たちもかわいいです。
文章もテンポがよく、絶妙な翻訳だな〜と感動してしまいます。
ちょっと笑ってしまうような設定はありますが、とにかく怖い絵本『もじゃもじゃペーター』を眠りたくないとき、眠ってはいけないときにはオススメ。
こんなにも恐ろしい絵本を作られた、ハインリッヒ・ホフマンさんってどんな人なのかなと思ったら、ものすごく羨ましい才能の持ち主でした。
天は二物を与えた
作者のハインリッヒ・ホフマンさんは、ドイツのお医者さんです。
お医者さんになれる頭のよさか、絵本が作れる才能かどちらかでいいから欲しかった…羨ましい!
もともと病院にやってきた子どもたちを絵やお話でなだめるのが得意だったそうで、この絵本も息子の誕生日に作ったものが出版者の目に止まり出版されたとのこと。
出版されることが決まったとき、ホフマンさんは自身の描いた絵が芸術的に修正されたりしないように、絵を書き写す人や色をつける人たちを厳しく監督したそうです。
ドイツでは1845年に発行されてから大人気の絵本となっており”シュトルーヴェルペーター・ミュージアム”というもじゃもじゃペーターの美術館も存在します。
今回紹介している『もじゃもじゃペーター』はホフマンさん本人の絵が使われているもので、佐々木田鶴子さん翻訳です。
それ以外にも、銀の鈴社より『ぼうぼうあたま』という邦題、伊藤庸二さん翻訳のものや、飯野和好さんの絵と生野幸吉さんの翻訳で作られた『もじゃもじゃペーター』など数種類の絵本が出版されています。
同じ絵本がさまざまな絵や翻訳で出版されているのは、やはりそれだけ沢山の人に読んでほしい絵本だったということでしょう。
おっしゃる通り!
この絵本は、教訓を学ぶ絵本の代表だと思います。
実際に失敗する前に絵本で学ぶことができる点は素晴らしいと思いますし、なによりも「おっしゃる通り!」な内容です。
しかし、小さいときに読まなくてよかった…とホッとしてしまいます。
それだけ衝撃的なお話があり、本当にトラウマになってしまう可能性があるからです。
絵については、色使いも素敵ですし、ところどころ描かれているポーズがおもしろく、笑ってしまいます。
そして、表紙でも描かれているような縁取りというか、コマ割りに描かれている線や絵といったお話の区切り方が素敵。
絵を見るだけでも楽しめたり、もちろん絵だけでも十分恐ろしいですので、眠りたくないようなときにオススメです。
もしあまりにも言うことをきかないお子さんがいたら、そっとプレゼントしてもいいかもしれません(笑)