悪ふざけ回転寿司屋さんと大ツッコミ子どものネタ絵本という感じです。
逆に食べたい!
回転寿司にやってきた、鼻水をたらしたゆぎさん。
とんでもないお寿司ばかりくることに、ゆぎさんはどんどんツッコミを入れていきます。
「でかすぎ!」「たべられちゃうよ!」「だれ!?」などなど。
「どんな寿司屋なの?!」と言わざるをえないお寿司に、裏切られながらも楽しんでしまうゆぎさんの姿を見ていると笑ってしまいます。
出てくるとんでもないお寿司を逆に食べたくなってしまう、お腹のすく絵本です。
そして、主人公の設定が絶妙にジェンダーレス!!
ゆぎという名前やタンクトップ、髪型などなど!
絵本の登場人物の性別は、はっきりしていることが多くあります。
でももし性別がわからなければ、自由にその子の性別や設定を考えることができて楽しい。
わたしはゆぎちゃんと呼び、おんなの子として読みました。
大きな名札をつけていることから、幼稚園から小学校低学年くらい。
たぶんまだ恋はしていないんだろうな、どうか食べる姿がかわいいという人を見つけてほしい…などと勝手に親心をいだいたりしていました(笑)
というか名札、自分で書いて失敗したのかなーなんて考えたり。
かわいいけど面白みの強いゆぎさんの誕生について調べてみると、出版はオザワンという会社。
聞いたことがないので調べてみると、絵本からは連想できない会社でビックリ!
やればできる!
「株式会社オザワン」で検索し、ここだろうと思ってHPを開くと、頭に「?」が浮かびました。
完全に火花散る現場ではたらく”ザ・職人”という雰囲気の写真が表示されており「間違えた!」と思い、もう一度調べることに。
結局「やっぱりこの会社だ!」と2度ビックリすることになりました。
しっかりと実績”絵本出版”と書いてあり、どうやら本業が職人写真の正体のようです。
(株)オザワンは、群馬県にある機械加工をメインにされている会社。
機械加工の会社が絵本とはどういうことなのか本当に不思議でした。
しかし、(株)オザワンの『回転ずっしり』特設ページを読むと、お父さんの愛と幼少期の反省からうまれた絵本なんだなと納得。
ガキ大将だった幼少期の反省と、ご自身のお子さんに残してあげるものとして本業とはぜんぜん関係のない絵本作りをされたそうです。
絵本に限らずだと思いますが、気持ちがあればなんでもできるんだな〜と感じました。
(株)オザワンのスローガンは「夢を形に、形を夢に」というもの。
スローガン通りほんとうにいろいろな製品や取り組みがあってビックリ、そしてスゴイです!!
なんとゆぎさんのLINEスタンプも販売されています!
なんでもやればできる!
そんな感動すらした特設ページを見ていたとき、申し訳ない事実が発覚しました。
この特設ページには、ゆぎさんのジェンダーがはっきり記されています。
ぜひ絵本を読んだ上で、上記特設ページで真相をご確認ください(笑)
早くないですか?
この絵本ではとんでもないお寿司ばかりが回ってきます。
それに対してしっかりツッコミを入れてくれるゆぎさんは、とてもかわいいです。
しかし、ちょっとかわいくない一面も。
ゆぎさんは最後にちゃんとしたお寿司を手にとることができます。
それが「え!その寿司ネタ、早くないですか?」と思ってしまった!
自分の小学生のときと比べてはいけないとわかっているのですが、頭をよぎってしまう心の狭さよ…
でもちゃんとその後にもオチがついて、笑わせてくれるゆぎさんは、やっぱりかわいいです。
そして満腹になったゆぎさんの様子を見て「結局ヘンテコお寿司も全部食べたのかな?」という謎が生まれたりと最後まで楽しませてくれる絵本。
回転寿司で「ヘンテコなものが回ってこないかな」と期待するようになってしまう絵本『回転ずっしり』をぜひ読んでみてください。