かぶとむしくんがゆっくりダンスしている様子を描いた絵本。
福音館書店の”0.1.2.えほん”という10ヶ月の赤ちゃんから楽しめる幼児絵本シリーズの一冊で『ぺんぎんたいそう』などと同じシリーズになります。
幼児絵本ということもあり文字はほとんどなく、かぶとむしくんの動きやセリフを楽しむことができる、ページ数の少ない絵本です。
そのため、大人の方はボーっとした状態でも楽しめるでしょう。
そして絵は、まるで図形のようです。
描かれているのは間違いなくカブトムシですし、目などはもちろん丸いのですが、かぶとむしくんのまっすぐな手足やツノが強く印象に残ります。
切り貼りで作られているのか?
パソコンなどで図形を駆使して描かれているのか?
超絶丁寧な手書きなのか?
不思議な絵で、描かれ方の謎を解明するためについつい長時間見つめてしまうはずです。
また、読むと「実際のカブトムシってどんな姿だったかな?」という考えが頭によぎるかもしれません。
だからこそ、実物を確認しやすい夏にボーっと読むのがオススメです。
これからの活躍が期待される増田純子さんが作られている作品は他にどんなものがあるのでしょうか。
くわしくご紹介していきます。
有名になる前から知っていた優越感を味わおう
作者の増田純子さんは、福音館書店の月刊誌『こどものとも0.1.2.』で作品を描かれていることが多い方です。
過去『こどものとも』に掲載された作品には『にわとりの たまご』から始まり『じどうしゃぱん』や『かあーかあー からすさん』などたくさんあります。
そしてこの『ほっぷ すてっぷ かぶとむし』も2005年に『こどものとも』に掲載された作品で、福音館書店から書籍化されている唯一の作品です。
また、印刷できる電子書籍を販売する出版社”Pictio”からはいくつか電子書籍化された絵本が出版されています。
例えば『ありさんのいちにち』や『でてきた でてきた かたつむり』があり、なんとこの絵本には英語版も存在するんです!
正直、そこまで有名になっていない絵本の英語版が出るのは珍しいなと思ってしまうのですが、これはPictioが”子どもと一緒に海外赴任されたお父さんとお母さんの声から誕生した”という背景があるからではないでしょうか。
こうして増田さんの作品を書き出してみると、動物や昆虫といった生き物に焦点を当てた作品が多いのだなと感じます。
増田さんはまだまだ、著書やご本人に関する情報も少ない方です。
しかし『こどものとも』でたくさんの作品を描かれているということを考えると「これからどんどん人気になる方かもしれない!」と期待せずにはいられません。
ぜひ皆さんも「人気になる前から、知っていた」という優越感を味わうためにも、増田さんの作品を読んでみてはいかがでしょうか。
黒目のみでも魅力的
この絵本の主人公はかぶとむしくん。
もちろん子どもに大人気の昆虫カブトムシです。
そんな彼のいちばんの魅力は、表情だと思います。
擬人化されているわけでもなく、とてもシンプル絵なので、表情の変化は黒目のみ。
でもそれで十分伝わります。
その表情にちょっと不思議な動きがつけば、もうノックアウトです(笑)
わたしは小さい頃からクワガタ派だったのですが、この絵本のおかげでちょっとカブトムシ派になびいています。
そんな無駄情報はさておき、可愛くて面白い『ほっぷ すてっぷ かぶとむし』をぜひ読んでみてください。