エメラルドみたいにみどりいろな、しゃくとりむしのお話。
自然界でおこる危機を乗りこえる知恵を学べます。
その知恵は人間界でも役立つでしょう。
あ~あの時、こういう対処ができていたらな〜なんて思ってしまったり。
そして、レオ=レオニさんの色彩がとにかく美しいです。
虫が主人公なので、緑が多く”新緑の春”にぴったりな一冊です。
なぜレオ=レオニさんの絵はこんなにも美しいのか?!
ほんとうに知りたい、その秘密を解明したいと思います。
この美しさ!
レオ=レオニさんといえば『スイミー』や『アレクサンダとぜんまいねずみ』など、有名な絵本をたくさん作られた方です。
オランダ生まれの男性で、第2次世界大戦中の亡命先であるアメリカでグラフィックデザイナーとして活躍しました。
そして49歳のときに絵本づくりを開始、1959年にデビュー作『あおくんときいろちゃん』を発表しています。
お話はかわいらしいのですが、なんとなく考えさせられる絵本が多いです。
わたしも幼稚園のころ『スイミー』が大好きでしたが、当時は「スイミーみたいになりたい」くらいしか思っていませんでした(笑)
いま改めて読んでみるといろいろ感じる部分があります…大人になるのも悪くないですね。
それはさておき、レオ=レオニさんの絵はどうしてこんなにも美しいのでしょうか!
この美しい絵のおかげで、一生レオ=レオニさんの虜になってしまう方も多いでしょう。
『ひとあし ひとあし』も木や草、そして鳥たちがとても美しく描かれています。
しかし、ただ美しいだけではなく、淡い色の草の中に濃い色で模様のはっきりした草があったりと、なんだか不思議です。
よく見ると花の背景と絵本の真っ白な背景はすこし色が違うなど、切り貼りの痕跡がちらほらと。
詳しいことはわからないのですが、おそらく”コラージュ”という技法を使って描かれたのではないかと思います。
”コラージュ”とは薄紙などに自分で色や柄をつけて、特製の色紙を作りそれを切り貼りすることでひとつの絵をつくる方法です。
エリック・カールさんの『はらぺこあおむし』もこの”コラージュ”で作られた絵本のようですね。
あたまがよいです!
主人公は”しゃくとりむし”漢字で書くと”尺取虫”です。
みどりいろの細い体のいも虫で、一度は見たことがあると思われます。
でも、名前まで知っていたという方はほとんどいないのではないでしょうか。
お話は上記のような「名前までは知らない人もいるだろう」という指摘から始まります。
でも名前ってたいせつで、便利なんですね。
しゃくとりむしの”かれ”のあたまが良いだけかもしれませんが。
そして、最後にもういちど頭の良さを発揮してお話は終わります。
草木や鳥たちの色を楽しみながら、人間界でも使える”生き抜く知恵”を学んでください。
絵本で緑を楽しんだら、実際に外出して新緑も楽しみたくなる一冊です。