冬の楽しさが伝わる、白雪姫の続編!?
信じられないくらい美しい絵本。
白雪姫ってやっぱりキレイ!
絵本というよりは、完全に物語(笑)
それくらいの文字数です。
小学校の中学年になれば、すらすら読めるかなという印象。
だから、大人の方向きだと思います!
しかも、絵がほんとうに美しすぎて…感動レベル。
雪の絵が多くて幻想的、しかもユーモアも溢れている絵本。
白雪姫がお妃様としてお城に迎えられてから、小人たちはどうしていたのかが垣間見れる絵本です。
主役は7人の小人ではないのですがね。
この絵本の主役はとある3人の小人です。
7人の小人の従兄弟という設定!!(笑)
従兄弟とかってきくと、妙な親近感がわきます!
そしてこの3人の小人さんたちがユーモラスで「あ~冬って楽しいんだな」と感じられます。
かわいくて、ちょっと抜けてて、なんとも愛おしい小人の生み親はいったいどんな方なのか。
絵もすごく素敵だし「なんだか高貴な方かな」なんて思ったいたら、真逆!
思わずホロッとしてしまう作者の方についての情報を、見ていきましょう。
自然のチカラで元気に!
作者のエルンスト・クライドルフさんは、スイス出身の男性。
詩人作家でもある彼は、実は苦学生だった過去を持っています。
彼は石版工として働きながら、美術学校に通い絵を学んでいらっしゃいました。
しかし、過労のために体をこわし一時アルプスのふもとに住むことに。
偉大なるアルプスの自然によって元気になるのですが、苦学生だったとはなんとも驚き。
そのときに触れた自然から影響を受けて誕生したのが、彼の絵本デビュー作『花のお話』です。
そしてそれ以降も『くさはらのこびと』『バッタさんのきせつ』『ふゆのはなし』など自然に関わるものばかり描かれています。
とにもかくにも、クライドルフさんの描かれる自然の美しいこと!
そして繊細な絵で描かれるとてもリアルな自然と、妖精といったファンタジーの住人たちが絵本の中で共存しています。
その描写のおかげで、現実の自然界にも自分に見えていないだけで妖精はいるのかもしれないなと夢見てしまう!
つらい花粉の時期にも、がんばれば花粉の精とか見えるかもしれないですね…(笑)
ファンタジーなのにリアル
最近の冬、寒すぎませんか?
単純に自分が寒がりになったということもあるのでしょう。
しかし、都心でも雪がつもることも増えています。
あと、確実に寒暖差は激しくなっている!
そうです、だから冬を楽しむことなんて忘れてました…
冬、駅までの道のりは下を向いて早歩き。
しかも手はポケットに入れたまま。
防寒のために手袋とマスクを付けているので、冬の匂いをかいだり手で雪や氷に触れたりなどにも全く無縁。
思い出してみたら、小さい頃は朝起きて「今日は氷がはっているか」毎日チェックしてました。
氷が分厚いと「今日は寒いんだな」と思うと同時になんだか嬉しかったです。
朝イチで氷持ってましたし。
野生がすぎる!(笑)
そうなんですよね、冬だからできる楽しい遊びや寒さを楽しく感じることはいくらでもできるんですよね!
童心を思い出せるのは、絵本のいいところだなと改めて感じます。
この絵本を読んだときは「今年は氷に触りたい!」なんて思いましたが…やっぱり無理でした。
そもそも氷ができている場所が近所にはなかったです。
でも、一応雪だるまは作りました!
もっと降れば、雪合戦とかも楽しそうだなと思ったり!
そんなことを考えていたら、この絵本の雪合戦シーンを思い出して笑ってしまいました。
小人さんたちの雪合戦は、ものすごく楽しそうに描かれており、雪合戦をやりたくなってきます!
そしてこの絵本がリアルだなと思うのが、ちゃんと寒そうなところ。
雪の玉を作っているのがどれほど冷たくて寒いのかまでしっかりと描かれていて、雪合戦がいかに勇気のいる遊びなのかも教えてくれます。
例えば「玉があたったら、それをがまんして、それから、雪の玉をつくるのです。すると、そのときは、手がむらさき色になっているのです」という文!
手がむらさき色!!
ものすごい寒さが伝わる!
読んだだけで寒いです!
あと、絵を見ていて思うのは、小人さんたち軽装すぎます。
ももひきみたいなものとVネックのシャツに身を包み、しかも雪を触る手は素手のまま。
いやいや、まず手袋必須〜!
「だから手がむらさき色になるんだよ!てか、本当にダウンとか着てくださいよ!」とツッコミを入れたくなってしまう…(笑)
そんなお茶目感が満載な絵本。
だけど絵がキレイだからか、なんだか高貴なお話に見えます。
真面目な絵本だと騙される!
クライドルフさんの絵本は”ファンタジーだけで描かれていないところ”が本当にすごい!
白雪姫という人物、そして妖精や7人の小人の従兄弟という設定もファンタジー感満載です。
それなのに、雪の中を歩くのに杖を使っているところや氷の精だけどスケート靴を履いているところなんかもすごく現実的。
氷の精がスケート靴履いている時点で、かなりリアルさのあるファンタジーだなと感じます。
リアルさのあるファンタジーに加えて、とにかく美しい絵がほんとうに素敵です!
木に積もった雪や朝日に照らされた自然のスケート場、そして白雪姫との食事会のシーンなどなどすべてのページが美しい。
見ていて飽きません。
文章は長いけれど、テンポもいいしおもしろい!
とても読むのが楽しい絵本です。
ぜひキレイな絵と文章の多さという見かけに騙されず、ユーモア満載の『ふゆのはなし』を読んでみてください!