みなさん、11月30日は「絵本の日」だとご存知でしたか?
わたしは初めて知りました!
なぜ11月30日なのか、さっぱり見当もつきません。
前日の11月29日「いい肉の日」のように単純ではないようです。
調べてみた由来などを紹介するとともに、未来の絵本についても考えてみたいと思います。
ある本の出版日
記念日の作り方
まず、そもそもの記念日の作り方です。
実は【一般社団法人日本記念日協会】というところがあります。
そこに、記念日の名前や由来などのもろもろを申請し、審査に通れば記念日の誕生!
きちんと審査もありますし、政治活動や宗教活動への利用はできないとされており、必ずしも記念日作成ができるわけではないようです。
絵本の日
さて、では「絵本の日」はどなたが作ってくださったのか?
答えは【絵本と図鑑の民間図書館「絵本と図鑑の親子ライブラリー」(ビブリオキッズ・ビブリオベイビー・ビブリオラボ)※以下ビブリオ】というところです。
このビブリオは、福岡県でこどもの歯科医院を運営する【医療法人 元気が湧く】によってつくられました。
そして、ビブリオのHPでは「絵本の日」を以下のように解説しています。
この日は、児童文学作家の瀬田貞二氏が・・・と言っても、みなさんは“誰っ?”って思われるでしょう。瀬田貞二氏は、映画にもなって大ヒットした「ナルニア国物語」や「ロード・オブ・ザ・リング(指輪物語)」の翻訳者としても有名です。この瀬田氏が、日本の絵本に関する基本的な考え方を最初に示し、その後絵本の世界に大きな影響を与えた「絵本論」を出版した日が、11月30日なのです
このように「絵本の日」は瀬田貞二さんの『絵本論』出版日であることから、11月30日に制定されています。
瀬田貞二さんとは
その「絵本の日」のきっかけになった瀬田貞二さんとは、いったいどのような方だったのかみていきましょう。
1916年東京生まれの男性。
東京帝国大学文学部を卒業後、平凡社の編集者や翻訳家などいろいろとご活躍されています。
「絵本は、生きた冒険であり、楽しくて面白くうつくしいものである」という信念を持たれており、子どもの本の研究に生涯をささげていた方です。
『児童百科事典』の編集や『三びきのやぎのがらがらどん』などの翻訳、更に『きょうはなんのひ?』を代表とする絵本の制作まで!
このようにさまざまな取り組みをされているということからも、瀬田さんの児童文学愛がどれほどのものなのか感じ取れると思います。
絵本の現状
これまで「絵本の日」の生い立ちについて説明してきました。
せっかく「絵本の日」なので、ここからは絵本の未来について考えてみたいと思います。
主に電子化された絵本についての考察から、絵本はどう生きていくのか考えてみましょう。
ひとまず、絵本の現状がどうなっているのかについてです。
電子書籍
まずは、絵本の電子書籍化についてです。
2010年の電子書籍元年から8年経ち、わたしの周りで考えてみても確実に利用者は増えてきている印象。
そんな流れの中で、絵本も電子書籍になっています。
例えばAmazon”Kindle”や楽天”Kobo”そして絵本ナビでも電子書籍の絵本が紹介されています。
やはり最も電子絵本の取扱が多いのはAmazon”Kindle”でしょうか。
絵本ナビも種類が豊富です。
もちろんこの3つ以外のところでも電子書籍の取扱はあり、絵本の電子書籍への一定需要があると考えられます。
デジタル絵本
デジタル絵本とは、電子書籍の1つの種類になるのかもしれません。
しかし、単純に紙の本をデータ化したということではなく’デジタル絵本”として誕生したものについて考えてみます。
参考にしたのは、『絵本の冒険』編:小野明/フィルムアート社です。
上記の本内「表現の拡大」という章でデジタルえほん代表取締役石戸奈々子さんの書かれた「デジタル最前線」という節があります。
読んで衝撃を受けました。
なんと今では、現実の中に絵本を取り入れることができる”体感型絵本”が存在しているとのこと!
本の中ではデンマークの絵本『Wuwu&Co.』という作品が紹介されており、タブレットの映像と現実の映像を組み合わせることで物語が展開したり、話しかけることもできるそう。
また、デジタルえほんが実施している「デジタルえほんアワード」というコンテストについても触れられています。
2018年で第6回となる賞で、その第2回では中学生の作品がグランプリ!
驚き!!
ストーリーからプログラミングまでひとりで作った作品とのことで、もはや泣けてきます(笑)
このように、デジタルだから作れる絵本というものは確実に存在し、デジタル絵本への関心は若い世代の方が高い可能性もあるでしょう。
紙の絵本
では、紙の絵本はどんな状況なのか。
絵本の電子書籍ラインナップをみても分かるように、やはり絵本はまだまだ紙が主流です。
更に言えば、この出版不況の中で、児童書の販売は伸びているというデータもあります。
理由は、お孫さんへのプレゼント需要や少子化でひとりの子どもにかけられるお金が増えたことなど。
また、ミロコマチコさんやヨシタケシンスケさんなどの新世代の絵本作家の方々の人気や大人絵本の誕生も要因のひとつと考えられます。
このように、現状はまだまだ紙優位であると考えられるでしょう。
ストリーミング化するか
絵本の未来
わたしの考えでは、紙の絵本はなくならないと思います。
やはり、絵本は紙で読みたいという思いが消えないと考えているからです。
ただし紙と電子の読み分けは進むと思うので、紙での部数自体は減ってしまうかもしれません。
電子書籍の現状データを見てみても、電子書籍購入の理由は「場所をとらないから」がいちばん多いです。
どうしても紙の本はかさばってしまうため、持ち運ぶものを中心に電子書籍の需要は高まると考えられます。
絵本の性質上、他の種類の本よりも電子絵本が人気になるまでの時間はかかるかもしれません。
しかし、これから絵本はマンガなどと同じように、人気が出れば紙の絵本として刷られる数が増えるという状況になるのではないかと思います。
ストリーミング化するのか
Spotifyの音楽ストリーミングサービスは、今では当たり前のものになっています。
いまのところ書籍は、紙の本と電子書籍の割合が拮抗している状態で、本のストリーミングサービスはまだまだ先という印象です。
しかし、確実にストリーミング化の波はやってきている!
何をかくそう、わたしも”dマガジン”という名のストリーミングサービスを利用しています。
たいへん便利です。
漫画のストリーミングサービスはたくさんありますし、音楽の流れを考えれば、書籍がストリーミング中心になることもそう遠くない未来なのではないでしょうか。
そしてその流れで、絵本のストリーミング化はいつかやってくるはず。
既に絵本ナビでは絵本が1冊だけ無料で読めるサービスが行われていますし、この波は逃れられるものではないと感じます。
絵本にとってはプラスかも?
一方で、絵本はストリーミングで読んだ後に、紙で購入されるケースも多いのではないかと予想します。
理由は、絵本が読まれるシチュエーションは家が多いことと、何度も読み返したいものだから。
いつだったかのネット記事でみましたが、紙の本は”思い入れの強いもの”を買う傾向があるということ。
「好きな作家さんだから」や「手元に置いておきたい」「何度も読む」という気持ちが強い本は紙で持つ傾向が強いようです。
確かにわたし自身も「手元にほしいかどうか」という基準で買うものを選んでいます。
本に限らず、すべて「ほしいかどうか」の選択。
もちろん衝動買いもありますが、そういったものは結局すぐ手放すことに…(笑)
そして、他の本に比べて絵本は「手元にほしい」という気持ちが強い存在ではないかと思うのです。
ひとつの事例として、キングコングの西野亮廣さんが『えんとつ町のプペル』を無料公開されたことがあります。
無料公開の結果『えんとつ町のプペル』は大きく販売を伸ばすこととなりました。
この結果から考えてみても、絵本のストリーミングが始まったとしても、紙の本の需要は残るのではないかと推測できます。
結論
絵本の日ということで、かなり自分勝手に絵本の未来について考えてみました。
実際に絵本のストリーミングサービスを開始するなんてことになったら、かなり大掛かりなことになってしまいますよね。
ただ、絵本をたくさん読みたいというわたしのようなワガママな人間は、ストリーミング化してくれるとありがたいなと思ってしまったり…
そうすると、本屋さんに行って絵本を見る人が減って、本屋さんでの取扱いがなくなってしまったら…と考えるとやっぱり嫌かなと思ったり…
そもそも絶対に紙の本はなくならないでほしい!
結局、どうなっていってほしいのかというのもわからない!(笑)
とりあえず、どんな形に進化していっても絵本は読み続けたいなと思った「絵本の日」でした。
みなさんも「絵本の日」を堪能してください。