《春夏秋冬いつでもオススメ》まさかの絵本『春はあけぼの』文:清少納言/絵:たんじあきこ/編:齋藤孝(ほるぷ出版)

春はあけぼの 《season》季節のオススメ
画像出典:ほるぷ出版

まさか絵本の紹介で”清少納言”という人物名をかくことになるとは…

ほるぷ出版の「声にだすことばえほんシリーズ」の一冊で、『枕草子』の第一段を絵本にしたものです。

この絵本の文は清少納言が書いたものをそのまま使用していて、大人にとっては懐かしく、子どもにとっては不思議で面白く、声に出したいと感じるのではないかと思います。

その文章にたんじさんの、かわいらしくて美しい絵が付け加えられ、さらに絵本として一通り読みおわった後には、テレビでもおなじみの齋藤孝さんの現代語訳が楽しめるという作りです。

マッチしないんじゃないかな?と思った昔の文と現代の絵がとてもマッチしていて、心から美しいと思える一冊です。

わたしは、枕草子についてほとんど覚えていませんでしたが、皆さんは覚えていますか?

忘れてしまったよという方は、簡単に復習していきましょう。

コレ、習った人も多いでしょう

「春はあけぼの」ではじまるこの枕草子第一段は、学校で暗記したことがある方もいるのではないでしょうか。

『枕草子』は皇后”定子”に仕えた女房である清少納言によって、平安中期頃書かれたもので『方丈記』『徒然草』とならぶ、日本三大随筆のひとつです。

三大随筆のなかでも『枕草子』は日本最古の随筆ともいわれ、文の長さや形式、内容ともにさまざまな約300段の構成です。

ちなみに随筆とは、実際の出来事や見聞きしたことを思うまま「筆に随って(したがって)」書かれたもののことを指します。

実際の出来事とはいっても、枕草子に綴られている出来事は仕えていた皇后定子の美しい側面を切り取った内容ばかりです。

しかし、紫式部に嘘だと否定されたという説もあるように、皇后定子は天皇から愛されすぎたがために迫害されたり、24歳という若さでこの世を去ることになったことなど決して美しくない側面もあります。

なぜこのような作りになっているのかということや、今まで無くならずに引き継がれてきたことには諸説あるようですが、調べてみると結構面白い。

学生時代は古文の面白さは微塵もわかりませんでしたが、今になってようやく面白さがわかってきました。

もしかしたらこの絵本を読むことが、古文に興味を持つきっかけになるかもしれません!

1冊で4度オイシイ!

『春はあけぼの』は四季の美しさについて書かれ、清少納言が春・夏・秋・冬それぞれの季節でどんなことを美しいと感じていたのかわかります。

現代ではなかなか味わえない景色が多く、文だけだと理解できない方も多いかもしれません。

しかし、そういった景色を理解できるようにしてくれるのがこの絵本です。

たんじさんの絵をみて「清少納言が美しいといったのはこれか」と理解したり、想像したりすることができます。

そして単純に絵本として見ると、絵の色がとても美しい。

でも美しいだけではなく、なんだか不思議な色です。

紙がちがうのか、印刷がちがうのか、もともとの絵の色が特殊なのかわからないのですが、なんだか見入ってしまいます。

清少納言たちなんでしょう、着物の女性たちが描かれており、なんと彼女たちの髪型はアフロ!!

そのアフロのなかに美しい景色が描かれており、なんとも個性的な作品に仕上がっていることもこの絵本の魅力でしょう。

また、簡単に読み返しできることも絵本のいいところで、この『春はあけぼの』についてももちろん同じことが言えます。

特にこの絵本は文章と絵だけではなく、現代語訳が書かれているため、4回違う楽しみかたができるんです!

まず、そのまま絵本を読むことで「この季節は何が美しいのか」を絵で見て想像しながら読めます。

次に、本当に自分の解釈があっているのか、現代語訳ですぐに確認することができます。

その後、実際に意味を知った上でもう一度絵本を読めば、文や絵を最初とはすこし違う視点で楽しむことができるはずです。

最後に、「声にだすことばえほんシリーズ」というように、声に出して読むのが楽しい!

このように別視点で何度も楽しめる絵本はなかなかないですし、勉強にもなる一冊です。

季節のかわり目に一度は読む絵本として『春はあけぼの』をオススメします。